001 クレヨン

好きな色は決まっていた。

そして必ずそれは真っ先に二つに折れてしまう。

塗る時にやたら力が入り過ぎるせいだと

気付いたのは随分後のことだった。




「じゃ、これ持って見ようか!」

思いっきりテンションを上げて場を和ませようと

悟浄は道具棚から撮影用の巨大クレヨンを持ち出した。

「えーこんなのイヤだ、子供騙しだよ。お兄さん今時こんなの
 流行らないね。もっと時代の流れを読み取らなきゃ他にお客さん
 取られてしまうよ。子供のニーズ全然解ってないなぁ。
 それにあの演歌歌手みたいな衣装もどうにかならない?」

手ごわい......

「子供と老人に好かれるフェロモンだけは無駄に出てるなぁ(笑)」

社長にそれを買われてここに雇われたこの青年、

「子供を撮らせたら俺誰にも負けませんから。」

口癖のように言っていたのが今崩れようとしていた。

「いや、そうは言ってもこれオジイチャンオバアチャンには
 受けがいいんだよ。ねっちょっとでいーからさ、ここ座って
 持ってくんない?」

「しょーがないなぁ、まったくぅ。」

生意気な新一年生は渋々どデカイクレヨンを持って椅子に座った。

「こーでいい?」

「いいよ。じゃっ、ここお兄さんの手の辺り見て。
 あごをちょっと引いて。」

「こー?」

「そっそれはアイーンでしょ。そうじゃなくって引くっていうのはね。
 こうするの。」

いつも冷静沈着な悟浄の手先につい力が入る。


「お兄さん暴力はいけないよ。」

「ごめんごめん。じゃ気を取り直して1+1は?」

「田んぼの田。」

「そうじゃないって(泣)お兄さんは”2”って言って欲しかったんだな。」

「じゃそういえばぁ。いい大人が素直じゃないんだから。」

〜ちくしょー!このクソガキ、あー言えばこー言う。
 俺の全戦連勝記録がストップするじゃねぇか!〜

悟浄には泣く子も笑うと言う「お子様スマイル王者」の称号があった(笑)

「じゃあさ、ここにスケッチブックあるから好きな絵描いてごらん。
 名前とかでもいいよ。記念になるし。」

「うん。」

意外と素直じゃん。さすが俺、さすが王者、さすが未来の加納●明。

「お兄さん鼻の下のばしてどうしたの?早く撮ってよ。」

やばい。加納先生でついお姉さんのグラマラスバディを激写する図を

想像してしまったではないか!



「じゃ今度はスケッチブックをこっちに見せながら。」


「ほーーい。」


「はい、ポーズ!って何描いてんだよ!ボク〜!(泣)」

「ぞーさん。ぞーさん。オラここにも描いた〜!」

「こらっ!!!●んのすけ〜!!!ズボン下ろしてどーする!!!」

「うぇ〜かーちゃん出来心だから許して〜。」

「すいません写真屋さん。よーく言い聞かせますから。
 ウルトラ三段グリグリ攻撃〜〜〜〜〜〜〜〜。」





試練だ。

客商売ゆえ色々なお客様がこれからもやって来る。

今日の試練を越えれば明日は新しい成長した自分と出会えるのだ。


「じゃあさっきのはこっそり焼いてあげよう。君の若さの証拠だよ。
 し●のすけ君。」


「お兄さ〜〜〜〜〜〜ん(泣)」


あの日から悟浄の中で何か張り詰めていた緊張が

解けたのかもしれなかった....


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クレヨンと言えば「し●ちゃん」(笑)
我が家制限無しで見せてましたね。
先日は戦国物で泣かせてもらったしなぁ。

設定は53。職業は悟浄写真館勤務、三蔵は秘密(笑)
関係無い外野は随時登場の無法松。
本編Hbtに追い付け〜追い越せ〜みたいな♪
アホなパラレル逝けるだけ更新していきます。


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