004 マルボロ

 

「げっ500円しかねぇ.....」
自販機の前で小銭を数えたが、またもや今月残金500円也。
でも明日給料日なので良しとしよう。
原因は解っている。相撲トレーディングカードで、どうしても
高見山(マルハッチ♪)を手に入れたくて、
無謀な大人買いをしてしまった所為なのだ。


「煙草を買うと飯が食えねぇ...」

後先のことは考えず、取り合えず欲しい物は真っ先に手に入れるのが
正しいオタ道なのだ。トレーディングカード>公共料金の方式が成り立つのだ。

夕食は納豆定食並(¥380)でいいやと自分に言い聞かせた。

煙草の残りは僅か1本。
最後のそれに火を着けると、こともあろうにフィルター側であった。

「そう言えば、今日蠍座は12位だったな...(泣)」

貧乏風に吹かれながら、悟浄は足早に大黒屋へと向かって行った。

「こんばんわっ。」

「あ〜いらっしゃいませ、お腹空かせた狼登場ってとこですね。(笑)
 こんな遅くまで一体何やってたんです?あ〜なんか心なしか着衣に乱れが。」

「一人でくっちゃべってなくていいから、おばじゃねぇ八戒ちゃん。
 ちゃんと接客してくんない。ところで今日のお薦め何?」

500円しか持っていなくて「お薦め何?」はないだろう...

「本日のお薦め、丹波の黒豆納豆定食オクラ添え
 題して”ネヴァ〜エンディング精力ナットーキナーゼ”!!!」

「それって380円で食える?」

「ダメです、丹波スペシャルなんで450円です。
 70円ケチる者馬鹿を見るです。」

「解ったよ。じゃそれ。」

「はいちょっと待ってて下さいね。ニューオーダー黒ネバワンプリーズ♪」

「黒ネバワン、サンキュー♪」相変わらず嬉しそうに清一色が答える。

急いで注文を済ませるとグルっと辺りを見回した。

「今日は来てねェのかぁ。」

悟浄はポソッと呟いた。

ここ何日か仕事が立て込んでいて、職場で簡単な夕食ばっかり取っていたので
大黒屋に来るのは5日ぶりくらいだろうか。

座ったとたんに三蔵の姿を探してるなんて....

早く逢って最新情報を話したいんだ〜と妙に納得してしまう。

「忙しかったのですか?ここ何日か見ませんでしたよねククク。」

「うん、清さん。今ね忙しい時期なのよ。もぉくったくた。」

「そういえば三蔵君も来てませんでしたよ。はい、お待たせしました。
 これを食べれば、くったくたもどこ吹く風のビンビン物語ですよ♪」

「ふーん、そうなんだ。」

納豆を小鉢で溶きながら、なるべく無関心そうに答えたが

納豆を混ぜているうちに昔見た納豆道の極意を思いだし

必死になって混ぜ、粘りを出すうちに世界に入りこんでしまった。

「....さん、悟浄さん、糸引きまくりですよ。
 そろそろいいんじゃないです?」

「こっここは...大黒屋...。」

我に返り、徐に納豆を大盛り飯にかけると美味そうに食べ始めた。

「違いがわかるでしょうかね、悟浄君には。」

「解るぜ、さすが丹波産、どことなく霊界チックな味がするぜ。」

そんなやり取りをしていると背後から冷たい空気が入り込んで来た。

「いらっしゃいませ...。」

三蔵ちゃ〜〜〜ん?と期待してにやけて振り向くと誰も居なかった。

「変ですねぇ、今確かに気配が...」

「ねぇ悟浄さんも感じましたよね?」

「ああ、背後から冷たい空気を感じたね。」

「背後から冷たい空気。」

「背後から冷気。」

「背後冷気....背後冷...」

「ってことはつまり背後霊!」

「さっすが悟浄さん、今日憑いてますよ!(笑)
 サービスで除霊しておきますね。」

気を取り直して続きを食べ始めたが、怖くて心臓がドキドキしていた。

本日2回目のショータイムは、
急遽「八戒&一色&悟浄の除霊ショー」とあいなった。

「ご馳走様、今日も或る意味凄かったです。」

無意識に右手をポケットに入れて引っ張り出すと連なる万国旗が出てきた。

「おや、宴会ゲイですか?」

「うん、仕込んじゃった(笑)」

「煙草切らしたんですか?これ持って行っていいですよ。
 お客さんの忘れ物だけど、滅多に来ない人だから。」

「じゃ遠慮なく。どーもですっ。」

大黒屋の八戒さんが差し出したのは封が切られたマルボロだった。

しかもお得意さんに貰ったと言ってチャッカゴジョコも付けてくれた。

「こっ、これって!まじ貰っちゃっていいんすか?」

「僕そっち方面興味ないからいいんですよ。」

外に出て暫く歩いてから、チャッカゴジョコで火を着けた。

「吸い過ぎると身体に良くないにょ〜んv」

「かっ可愛い〜。」

チャッカゴジョコは着火の際にゴジョコヴォイスで話してくれるのだ。


「三蔵....ってこれ持ってねぇよな?」

自慢したくてウズウズしていた。ゴジョコライターは良くあるが

チャッカゴジョコは非売品で関係者に配られた数に限りがあるレア物だ。

今度逢ったら携帯の番号くらい聞いとくべきだなと悟浄は思った。

自慢話を我慢し過ぎるのは自分にとって正直でないことを悟ったから.....


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うほ〜い。
納豆道...あたし見たんですよ。昔TVで道着を着たおっさんが正座して
「かき混ぜ何十回!」とか言って、納豆薀蓄語る納豆道(笑)
いや、何の番組だったんだろう、あれ。

ふと今、宅ハチファッションの悟浄が脳裏に....
髪型似てないでもないし....

三蔵出番が少ないです。忙しいのか?
そうか!修羅場なのか!(笑)
ゴジョコオンリーに出す新刊執筆中←15禁兄貴萌え作品

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