006 ポラロイドカメラ
これ、どーする?」
「お前が持っとけ。」
「じゃ、また。こんどはイベント参加の方向で。」
「嗚呼。」
「絶対にイベント参加で。」
「嗚呼。」
「一般参加じゃなくサークル参加で。」
「嗚呼。」
「新刊原稿落とすなよ!」
その言葉を聞いて一瞬にして三蔵が涙目になったのを
悟浄は見落としはしなかった。
「コピーは手伝うから。」
「本当だな?全部手伝うんだな?携帯は常に充電しとけよ。」
「いつでもサンちゃんの為にフル充電だぜ。いろんなもん♪
試して見る?」
「やっ、やめろ。人が見てる。あっ..ごっごじょ、やめっ、
痛っ。」
「あ〜やっぱ朝剃ってもブ●ウンならこんなに剃れた。」
「嘘だ!俺はアイドルだからお前と違って不精ヒゲなんか
1ミリも生えねぇーんだよっ!つーか髭剃り持って歩くな!」
「もぉそういう所がマニアにはたまらないんだぜ、三蔵〜!」
いつものようにクサイ芝居をしながら、ネチッこく別れた。
悟浄の手元にはさっき店長が撮ってくれた写真が残っている。
店内の柱の一部に常連客のスナップを飾っているのだが、
その日は近所のスーパーで子供相手のイベントがあるらしく、
店長は「商店街にBOKEMONの”ひカシュー”が来ているから
一緒に撮って貰おう。」とチェキを持ち出した。
「巻上公一もニン◎ンドーに身売りしたか、20世紀も終わりだな。」
「古過ぎて元ネタが三蔵にしかワカラネェ。」
三蔵は洗いざらしのジーンズに青と白のコンビのシャツ、ベースボールキャップ、悟浄は胸にRの文字が輝く戦闘服を着せられた。
「あ〜やっぱり絵になるな(笑)」
その格好で連れ回され子供に混じって並び、
ヒカシューとの3P3ショットを満足げに撮り終わると
1枚悟浄達によこしたのだった。
悟浄は写真を財布にしまい込むと、暫く三蔵の後姿を見つめた。
「ケツちっせぇー、つーか触りてェ。」
今日買ったウラヌスの衣装を着ているヤツの姿を思い浮かべた。
「悟浄、俺の準備はいつでもOKだ。」と誘っているような目で、
いつも隠れている「生足」がスラっと伸びていてドキっとした。
ついでにタラっと生暖かいものが流れた。鼻ブラッドだった。
スネ毛にコンプレックスを持つ悟浄にとって、時折垣間見る三蔵の毛並みの良さが
例えば、そんな服の趣味でさり気に自慢されている気がしてならなかった。
「でも、脱色じゃん。」小さく呟くと、さっきもらったペーパーに携帯番号を
殴り書きして走った。
「お〜い、三蔵!」
怪訝そうな顔をして振り向く三蔵にペーパーを渡すとこう言った。
「また、時間有る時でも大人買いしようぜ。
毎日、仕事ばっかだとお金たまるっしょ。」
「.....だな。」
「それ、捨てるなよっ。じゃあ。」
肩に手を回し三蔵の耳元でそう囁くと、足早に悟浄は走り去った。
チョコエッグの匂いが微かに香った。
三蔵は立ち止まり、ペーパーの慌てた数字の列を見た。
下三桁が801、それが妙に妖しかった。
「どういうつもりなんだか.....」
無くさない様に、手帳に挟もうとして偶然表が見えた。
「5358イベント 無節操 」
三蔵は冷静を保とうとしていたが、どうにも数字が気にかかり
急いで家路を辿った。
「5358?8がひっかかる。」
携帯などいつもはその辺に投げて置くのに、今日に限って握り締めている。
いつか申しこもうか
いつ誘おうか
二人が二人、同じ事を考えていた。
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青春ヲタクホモパロ話街道まっしぐら(笑)
頭の中で20世紀の終わりにが鳴り響いています。
懐かしいですヒカシュー。今だクロゼットにプラスティックスと
ジューシィフルーツのシングルがあったなぁ。
それに混じって島大輔先生のシングルも(笑)
無節操とは我なり。
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