022 MD



職場に着いてからも気持ちはイスタンブールに飛んでいた。

恨まないのがルールだが、ヤケに気になる。

孫悟空は会社の部下としても....


−あいつら二人とは格好の違う背の高いあの男は何なんだ?
 アダムアントかと思ったぜー


「どしたの?」

「ぽーっ!」

「馬場やってる場合じゃないってば、ぼけーっとしていつもの悟浄じゃないよ。」

「や、朝からちょっと気に障ることがあってさ。俺にとって重要なこと。」

「じゃ、後で聞かせて。悟浄いじるとおもしろいからさぁ。
 ネタ帳用意しとかないと」

「そっかぁ。おもしろいのかよ、俺的にはやさぐれたい気分なんだけど...。
 それより蓮実だって変にポジション高くない?ブラ変えた?」

「なんでわかんのよ!ヤーラシイ。乳ばっか見てないでさっさと移動しないと。
現場は待ってくれないよ。」

蓮実が差し出したキーを受け取り駐車場へ向かった。


あの三人のアングルを捕らえた時、一瞬にして色々な考えが頭を巡った。

とってつけたようなネルシャツにベスト。

妙に浮いている足元の黄色い長靴、しかも悟空と御揃い。

オホーツクと太平洋が渦を巻いているような何とも言えない気持ち。

三蔵にとってコス以外のファッションがあまり重要ではない位置だと知らされたような光景だった。

お洒落な駅前通に黄色い長靴、悟浄じゃなくてもそう感じざるを得なかった。

そんな空気があの場には流れていたのだ。


三蔵のセンスだけが先走りしていて空回りしている...。

ピーコが入り込む隙間も無い様に見えた。

勿論、声をかけてコーディネートし直す気も無かったが........。

「あれってもしかして中忍ベストじゃねーか?」    *NARUTO参照

「何独り言いってんの!行くよ。」

蓮実に急かされ商用車に商売道具を搬入し、現場に向かった。

「今日は色紙もっていかないとね。」

「ジェイソン与作いるといいな。」

地元密着型某格闘技団体の新社屋落成式が今日の現場だった。

「いつになったら撮られる側になれるんだろな。」

「心配すんな、いつでも撮ってやるよ。」

「つーかそのまえにデビューしなきゃ...。」

苦笑いしながら蓮実がコンポにMDを入れた。

車内に燃える闘魂が広がり蓮実が一緒に歌い出した。

「ヒノキボンバイエ!ヒノキボンバイエ!」

「お前相変わらずアントニオ檜好きだなー、
俺はやっぱ最近じゃ獣珍トランキライザーが一番かなぁ。」

悟浄の言葉は軽く流された。

「天気良いしさ、このままどっかで対戦したいノリだよねぇ。
 ちょっと聞いてる?悟浄。」

プロテイン片手に、格闘家気分を満喫しているようだった。

「聞いてる、でもね、現場は待ってくれねぇの!」

「それもそーね、じゃ日を改めて」

先方に着くと重い機材を分担して運び、ベストショットを捕らえるべく
真剣にシャッターを切った。

やり直しが効かない分、慎重になおかつ迅速な判断を要するのだ。

ファインダーの向こうには、スター選手に目を光らす新進気鋭の二人。

酒樽に木槌を入れる団体の代表、ジャージ姿が初々しい練習生。

斧を振り回すジェイソン与作。

様々な光景が見えてくる。

「本日はありがとう御座いました、今後もご活躍を期待しております。」

撮影が無事終了し、手身近に祝福の言葉を残すと二人は現場を後にした。

「良かったね、ジェイソンにサイン貰えて。」

「ああ、良い感じに燃えたな。感動したー!」

「感動してもぅ筋肉プルプル」

スター選手の姿を見つめる蓮実の表情がいつにもまして漢らしかったのを
悟浄は見逃さなかった。



「蓮実、俺と付き合え。」

「なに言ってんの!悟浄とは付き合えないよ。」

「そういう意味じゃねーよ飯いこ、飯。」

「いいけど、あたしに奢らせないでよ。」

「大丈夫。姉貴に小遣い貰ったから」

「あんた、いくつになって小遣い貰ってんの」

「へへっ。痔炎いいとこあるだろ」


蓮実と痔炎のタッグがどうなっているか、その後聞いてはいない。
ただ蓮実の気持ちを思うと、はっきりしない痔炎にイラ着きを覚えるのも
事実であったが首を鍛えておくのは必須だろう。

「蓮実ブリッヂやってる?」

「もちろん。で、何食べに行くの?」

「内緒。」

「精力つく?」

「絶倫保障。」

「そりゃ楽しみ。黙って貴方に着いて行きますよ。」


いたずらに蓮実が寄り添って来た。

女の子独特の微かに甘い香りとふと触れた鍛えられた上腕。

忘れていた感触に脳が反応した。

「痛ーいってば、悟浄。」

「わりぃ...」

気が付いたら自然と蓮実に技をかけていた 。

「大外刈りっすか?」

返されて押さえ込みされると思ったが蓮実は目を見開いて硬直していた。


「一本取られたよ、悟浄。」

「一本じゃねぇよ。これじゃ技ありだ。」

「...ごめん、だって似てるんだもん。」

「でも技ありは所詮技あり!肝心な時に一本取らねーと」

「悟浄もね。あたしから一本奪ってもしょーがないじゃん。
 解かってるよ。」


何解かってるんだよ....と言いかけて言葉を飲んだ。

蓮実の肩に手を回した時に勢いで投げそうになったのは何故だろう。

自分の格闘技と言うものは一体何が基本でどれが正道なのか
訳がわからなくなってきた。

でも答えは形などどうでもいい。

好きなら好きでいい。

所詮生まれはカラオケ道場だ、それしかない。




「あたしこう言う所入ったことないからビビる。」

蓮実が怯えていたので、連れて来てまずかったかと思った。

久々の大黒屋は相変わらず凄かった。

それに今日は隣に三蔵じゃなくて蓮実がいる。

猪お奨めと一品料理を二、三頼んで一杯やった。

店主夫婦に「バイだったんですか?」とからかわれて「想像におまかせします。」と
答えたが、たまに綺麗なお姉さんにもムラムラするんで、まんざら嘘でもなかった。

「こちらのお嬢さんはどんなジャンルがお好きですか?」

八戒が興味深々で聞いてきた。

「あたし、腐女子オーラでも出てる?」

「58%くらいは出てますね(笑)」

「昔はそうだったけど。今はただの格闘技バカなんですよ」

「バカが付く位極めるって素敵なことですよ。お嬢さんクククッ」

今まで大人しく鍋を揺すっていた清一色が急に声をかけた。

「自分の好きな道をとことん極めなさい」

「さっすが一色、いいこと言いますね。修羅場を何度もくぐった人は言うことが違います」

人目も気にせず八戒はイチャついた。



帰り道は大黒屋で飲んだ八海山の所為で二人とも相当酔いが回っていた。

勢いに任せて自然と聞きにくいことも平気で言える。

「蓮実、もしかして姉貴とやったの?」

「やったと思う?」

「微妙...」

「やっちゃいたかったけど...未遂。」

「姉貴どうだった?」

「根っから女って感じ。でもあたしが漢だから案外いけるかも。」

「あいつモロッコで転換だから、先の先までXXXXXだよ。
 しょーがねぇなぁ、もう変にヲカマは。」

「最近の悟浄だってたまに女装してるじゃん。」

「俺は違うよ。まだ男だぜ。」

「だって一人で貸し衣装に着替えてこっそりセルフで撮ってんじゃん。」

「あれはアングルとか色々勉強してんだよ。」

「嘘だ。三蔵さんと合わせる気なんでしょう。」


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何合わせ?(笑)個人的にカカイル希望。髪が長いから悟浄がイルカてんてー
三蔵がカカシてんてー、でも声は関さんだけどね(笑)
Hbt本編でクライアントってあったところをアダムアントにしてみましたが
確実に二名様には理解していただけるかと。
ちなみにアダムアントはイルカ先生顔面コスです(笑)



久々大黒屋登場...なのに出番すくなっ!

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