008 パ チンコ




「これってタイミングいいんだかワリィんだか(笑)」

「それ以上笑ったらテメェの衣装むしり取るからなっ!」


照れ隠しもあってついぶっきらぼうな言葉を投げかける。

しかし内心、目の前の悟浄の衣装が豪華で嫉妬していたのだった。


ここ何日か電話をする口実を考えていたのだが、浮かばなかった。

目新しいブツもないのにかけて、自慢話をするほど自分が器用じゃないことは

三蔵自身が一番良く知っていた。


「つーか、今日ついてんじゃん俺。ねぇ八戒さん最後のレアなヤツお願い!」

「はい。ちょっと待ってて下さいね。」

「俺、ここ来んの超久しぶりだぜ。」

「俺もだ。」

「嘘だ、昨日も入ってくの見かけたぜ?」

「ひっ、人違いだ。」

「ふーん。そっくりだったけどなぁ。」

そう言って悟浄は、訝しげに三蔵の顔を覗きこんだ。

ヤヴァイ、昨日抜け駆けしてこっそり清から流出品ゴジョコのセル画を
分けてもらいに来たのを見られていたか.......
歩くオタク怪電波探知機悟浄アンテナ(通称触覚)恐るべし。






「なーんで今まで電話して来なかったのよ?」

「別に...たいしたイベントもなかったし。引き篭もりもピークに達してた。」

「俺、お前は一生出て来ないかもっとか思ってたからさ、

 さっき、めちゃビビったたぜ。」

「あほかっ、大袈裟な。」


しまった、パンチの効いた突っ込みが出来ない。

ありきたりになってしまう。

いいんだ、別に俺は芸人ではない、無理せずマイペースだ。

そんなことより、いつからだろう。

同人サイトの裏の裏まで読もうとする癖。

悟浄が裏を隠すヤツじゃないことは目を見りゃ解る。

でも、その言葉を疑っている自分がいるのだ。

どこかに隠しページが........俺を欺く謎のパスワードが...

しまった、大事な事を忘れていた。

探すも探さないも、それ以前に俺は、悟浄のサイトを知らない(チーン)

俺は、俺は何を一人で悩んでいるんだぁぁああああ。


「あーりがとさーん。大事に飾らせて頂きます。」

悟浄の歓喜の声が響き渡った。
本当に嬉しそうに買うヤツだ...

この言葉に嘘はない、しかし今日はどっから見ても嘘くせぇ。

ここは花の都パリじゃねぇんだ、汚宅市瓢箪町5条3丁目1‐8。
一体お前はどの辺りからその衣装で.....やはり筋金入りだったのか?


「何マジメくさった顔して?」

「いや、お前って本当に嬉しそうに買うなと...」

「へへっ。見てて気色悪いだろ?」

「ああ、そうだな。」

「認めるなよっ!ってまだ8時半かぁ...
 三蔵ってさ、これから時間ある?」

「時間か?...特に用事はないが。」

「じゃ決まり、付き合って。あっ八戒さん、俺と三蔵のおあいそお願い。」


急いで勘定を済ませると、大黒屋を後にした。


「ねぇ俺んち寄ってかない?昨日上司から凄いガンプラ貰ったんだ、

 一人で作るのももったいないしよぉ、ちょっと一緒に作ろうぜ。」


返事を聞くまでもなく、悟浄は肩に手を回し自分の家の方向に三蔵を導いた。


「お前、随分強引だな。」

「お前のことだから兄姪斗と大黒屋と家ってルートで大体決まってんだろ。
 たまにゃ釘をいじって、道筋変えるのもいい性転換じゃねぇ
 気分転換になるっつーの。」

「玉いじって性転換?」

「あっそれじゃ兄貴になっちまうって(笑)。
 なんなら兄貴に紹介してやるか?今姉貴だけどな。」

「一生言ってろ。」

「真面目に答えんなよっ!三蔵そこはボケだろっ!」

「うるせぇ、俺は基本的には、突っ込む方がいいんだ!黙ってやらせろ!
 最近色々と溜まってんだ!覚悟しろエロ河童。」

「いや、さんぞっ、いきなりは........
 たまには新鮮でいいかもーん。あはん。」

暗転


時折、夜風が紅髪をいたずらに三蔵に絡ませた。

「秒殺.........」

シアームスクの微かな香りが心地よかった。


「変態ヤローだぜ、まったく。」



気持ちと正反対の言葉を投げかけたが、羞恥心を擽られたのか

答えず黙って微笑む悟浄が隣にいた。


「俺まで変態になる.....」

「いやん、三蔵様ったら。それ以上変態になられたら...」


 

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隙見て書いたもんねぃ。うきっ。

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