018 ハーモニカ


「マジびっくりした。出ないと思ったから。」

「出ない電話にかけるのかお前は。
 大方留守電に"愛してるよベェベェ”とか入れて
 切るつもりだったんだろう?懲りねぇな。」


明らかに怪訝そうだ。

悟浄は慌てて弁解するようにその言葉を遮った。

「いっいやっ、愛しているのは間違いねぇけど。まぁその様子じゃ大丈夫だな。」
「まだ油断は禁物だ。俺の腸はデケリートなんだ。」
「それを言うならデリカットだろ!」
「俺はケントじゃねぇ。」
「つー訳で単なるさぐりの電話だから気にしないで。お大事に、じゃあ。」

「まてっ昨日は助かった。今度大黒屋で奢る。」

「まじぃ?超楽しみにしてるから受け体質さん(笑)」
「何だと!」

「じゃ俺休憩中だから、必ず連絡入れろよ。」

思ったより元気そうでほっとした。

どうせなら三蔵とサービス休憩したいのはやまやまだ。

あっでも2時間位だとつまんないかなぁ。
どうせなら泊まりがいいや。
三蔵のシャンプーの香りのする髪の毛に、顔埋めてすりすりと♪
やべぇ涎出てきた。

そのうちいやでも三蔵から電話が来るだろう。

「悟浄、今夜は何があっても帰さねぇ、泊まり覚悟で来い!」と、間違いない。
なぜならば、三蔵命掛け有休デイ(笑)ゴジョコオンリーが迫っているのだ。

まぁ来なけりゃかければいい、余計な心配してもしょうがない。

どう足掻いたって、俺がアシになるしかないのだから。


その日、悟浄の職場はいたって暇だった。

予約も午前中ではけて、後は雑務整理を同僚とのんびりと行っていた。

「なんか面白いイヴェントない?」

「そうだなぁ。”真にホモプロレス”の生贄タッグマッチ2004とか」

「それはチェック済み。フェアリー熊吉の新技とかちょっと興味あんのよ。」

「ネヴァーランドピーターパンチのことだな。」

「あっそれよ、それ!今時プロレスにして孤高のパンチよ!
もぅ熊吉ったら隅におけない。  今年のあたしの一押し選手だわ。
そうだ!悟浄も例の片思いの子誘って行けば?  少しは発展してるんでしょ?」

「脈は大有りだから、あと一歩で落ちるな。」

「押して見た?」

「一応な!へへっ」

「何にやけてんの。思いだし笑いでしょ。ヤーラシイ。」

「でもなー押すばっかじゃ色々と大変なのよ。」

「オスばっか?!なんか複雑な四角関係とか?」

「そうじゃないんだけど障害が多くてなぁ。」

「オスばっか...もしかして悟浄、ホモ気ある?」

「さぁ、自分では自覚ないんだけど、やっぱそうなるのかなぁ。」

「ふーん、どっちかっつーとバイじゃないの。」

「そうかもな。」

「お姉さんも嫌いじゃないっしょ。」

「はい。その通り。」

「まぁ悟浄がホモでもイモでもバイバイキンでもあたしには関係ないけどね(笑)
そんなことよりさ、ちょっとお願いあるんだけど、また姉貴の店連れてってよ。」

「おっヘルプのバイトする気になったか?」

「そうじゃないけど。」

「そう言えば俺も暫く行ってねぇな。仕事終わったら行くか?」

「行く!絶対行く!」


職場の同僚の蓮実紗依は同期入社で悟浄とはライバルであり良き相談相手だ。

女だけどサバサバしていて格闘技好きだ。

ずっと少林拳を習っていて腕っ節は強いが
黙っていれば結構ヅカ系だし、
実際二人で歩いていると振り返る男も多かった。

(今の二人とも男だよな?←世間の声)


悟浄の兄(現在は姉貴)は隣町でこじんまりした花屋を営んでおり、 傍らで夜は小さなBarをやっていた。

兄は華道の心得があり草花や高原の小枝を大切にしている。

「悟浄ちょっと家寄って、着替えてもいい?」

「蓮実の大胸筋見せてくれるならいいぜ。」

言った瞬間、後ろから蓮実の踵落としが入った。



「マジ蹴りすんなよっ。」

「へへ〜ん。早くいこ。」

蓮実の家は丁度コンビニの裏あたりで兄の店に行く中間地点でもあった。


冗談を言いながらのんびり歩いて蓮実のアパートへ向かった。

〜三蔵のアジトも多分この辺だよなぁ〜

考えながら歩いていると程なく着いた。

「ちょっと待ってて、勝負服に着替えるから。」

「はいはい。」

座って煙草に火を着けた。

シンプル過ぎる部屋はまるで男の一人暮らし、
鉄アレイとター●ンとプロテインが無造作に置かれている。

「お待たせ。」

いつもおろしている髪をまとめたのも漢だったが、
それよりタンクトップの開いた胸元に目がいった。

「それ本物?」

「そう、ちゃんと寄せてるの。Dには見えるでしょ♪」

「ちがーう!乳のことじゃねーの!ぶらさげてるそいつのこと。」

「あ〜これね、LittleLadyって言うんだ。」

「見せて...。」

「見るだけね...。」

「触ってもいい?」

「手荒く触ったらやだよ。」

「良く出来てるな〜。」

「どこさわっとんじゃワレ〜ッ!それは本物!」

「ぶつなよ(泣)ところでそれ音でるのか?」
「もちろん!とっさの時の防犯ベル代わりにしてるの。
 海江田万里も真っ青(笑)」

蓮実が防犯ベルって言うのもらしくないが、
人には言えない弱い部分もあるのが普通だろう。

ミニチュアのハーモニカペンダントの防犯ベル......

「蓮実、勝負服ってまんまかよ。」

「当たり前でしょ(笑)今日も暴れるぞー!」と酔拳の真似をした。

嫌な予感...最近この予感が的中する。

悟浄にも解らないが前兆があるのだ。

蓮実のアパートを出てコンビニの通りに向かった。

「ちょっと寄っていい?ウコン買って来る。」

「用意周到だな!俺のも頼む。」

「御意。ちょっくら待ってて。」


蓮実が走ってコンビニに向かう後をゆっくり着いて行った。

店に段々近付くに連れ、見覚えのある姿が飛び込んで来た。

「三蔵...」


「お前毎日ここ来てんのか?」

「三蔵、お前もだろうーが。」

「しゅっ、修羅場中なんだっ..........コピーがあと」

話し出すと間もなく

「ごめん悟浄。待った?」

店から出て来た蓮実が、悟浄の肩を勢い良く叩いたら
そのまま前に倒れ込み三蔵にぶつかった。

三蔵はぶつかった拍子に原稿を落としてしまい慌てて拾いだした。


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そしてオンリーの後には春コミへ(笑)行くのか三蔵!




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